ワッハウ(Wachau)での奇妙な体験 外見って以外と重要

以前に、私は日本人と思われることが少ないことを書いたことがあるが、あれは結局服装がかなり影響していた。それとはまた違うが、外国では服装や身形で違う扱いを受けることが多い。高級店ではそれなりの身形をしていないと客として扱ってもらえないし、オペラを見に行くのに、男性はジャケットとタイは必需品だ。外国ではないが、花粉症のマスクも同じだろう。マスクをしている人が全て強盗や窃盗を目的としているというのはあまりにも大げさだが、そう思う人が一人握りだが(ユニクロの店員とか)いることも現実である。
この身形のことで大変面白い経験をしたことがある。私の身形でないので、他人事といえばそれまでだが、同じ日本人として、また航空機の利用者として実害がないわけではないので、取り上げる事にした。
あるゴールデン・ウィークに、私はワッハウ渓谷に行った、勿論目的はホイリゲである。でも折角なので、ワッハウ下りの観光船の上からワイン畑を見て、その村に行くことにした。そこで私はメルク(Melk)からデュルンシュタイン(Drnstein)まで観光船を利用したのだ。
天気は非常によく、ゴールデン・ウィークということもあり、客の半数ぐらいは日本の方だった。私もリラックスしつつも、サイトにも公開できるいい写真を撮ろうと、端の方に席を決めた。そこにあの二人組み(女性)が乗船してきた。明らかに日本人だとは分かるのだが、身形が他の観光客とはかなり違う。別に変な身形をしている訳でもない。服はブランド物で決して安価ではないだろう。でも、異常な違和感を感じた。その二人はこともあろうに、私のすぐ後ろの席に座ったのだ。
まぁ、別に座っても、私に何かあるわけではない。私はワッハウの景色を楽しみ始めた。が、この二人、とにかく大きな声で話しをするのだ。他人の話なんて聴く気はなかったが、私の気持ちとは裏腹に聞こえてしまうのだ。「うるさい!」心のなかで叫びながら、私は目を景色に集中しようとした。
最初は彼氏の自慢話だった、それがJALの悪口になった。どうもこの二人はある航空会社の客室乗務員のようなのだ。しかも、ついに自分の会社のセキュリティに関する事まで話は発展してしまった。これはまずい。その航空会社は私も結構利用している。実害があるではないか。しかも周りは日本人だらけ、その航空会社を利用してゴールデン・ウィークの休暇を楽しんでいる人もいるかもしれない。流石に振り向きそうになったが、係わり合いになりたくないのでなんとか我慢した。
しかもこの二人はドイツ語も話せないようなのだ。ドイツ語が国語の国の航空会社に勤めているのに、他の従業員のコミュニケーションはいったいどうしているのだろうか?英語はできそうだけど、英語のできない乗客とかもいるかもしれないのに、客がドイツ語で話をした場合、この二人は別の乗務員を呼ぶのだろうか?
さて、私もこの二人もデュルンシュタインで船を下りた。私はご機嫌にワインの村へ向かった。最後に見たとき、二人はデュルンシュタインの十字路でうろうろしていた。これ以上変な話はしないでほしい、私はそう思いつつ駅をめざした。
さて、ワッハウでホイリゲを堪能し、戦利品(日本には輸入されていないワイン)もゲットして、私は上機嫌で帰路についた。各駅停車でクレムス(Krems am der Donau)まで戻り、ウィーン行きの快速電車に乗り換えた。そして再びあの騒々しい会話を耳にすることになった。なんとあの二人が後ろの席にいたのだ。しかもかなり酔っている様子だ。私の心を不安がよぎる。嫌な感じだ。
突然、二人の横に座っていたご婦人が、ちょっと翻訳できない言葉を言って席を替えた。不安が的中した。あとは、とにかく係わり合いにならないことだ。
さて、二人の身形である。ワッハウには合わないと書いたが、ウィーンでもバーぐらいしか合わない。この快速電車の中で、二人はかなりいかがわしい女達と思われたのだ。いわゆる娼婦である。オーストリアでは許可制ではあるが、売春は法律違反ではない。だから、その職業に就いている人もいる。そして、その職業の方にはその職業なりの身形がある。二人の身形はオーストリアではそう思われても仕方ない。しかも、都会のウィーンならまだ普通の人でも通用しなくもないが、ここはワッハウ、かなりの田舎なのだ。席を立ったご婦人が異常な訳ではない。ただ二人がラッキーだったことは、このご婦人の言ったドイツ語の意味が分からなかったことだ。分かれば恥ずかしくていたたまれなかったことだろう。
二人はハイリゲンシュタット(Heiligenstadt)に停車する前にも一騒ぎ起こした。「次はハイリゲンシュタットです。」という社内放送があったにもかかわらず。
「ここ何処?」
「みんな降りるけど、どうして?」
「え?ハイリゲンシュタット?」
とても親切な私は、残念ながら教えてあげなかった。二人と係わり合いになるのは、ここでは非常にまずいからだ。申し訳ないとは思っているが、私にも立場がある。
前にも書いたが、二人が勤めている航空会社は私もよく利用している。その後この二人とは、別々の便だが、機上で再会することになる。とはいえ、馬子にも衣装ということで、二人ともりっぱな客室乗務員に見えた。一人は坦々と業務をこなしていた。一人は運悪く(運よく?)知り合いが乗客として搭乗していたらしく、彼らにビジネスクラスよりワインなどを持ってきては、業務そっちのけで大騒ぎ。他の乗客も迷惑をしていた。何故、他の乗務員が何も言わないのか不思議なぐらいだった。
私も外見は気にしない方だけど、オーストリアでは溶け込めているようなので安心している。オーストリアに住むのなら、この二人も、というかこの二人を雇用している会社も、その辺りの事情をもっと理解させるべきではないかと思う。しかしながら、休日の服装までは指導しかねるだろう。だとしたら、業務中の態度だけでも指導してほしい。

船の上ではおしゃべりより景色を楽しみましょう この雰囲気に合う服装とは?

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