早飲みで何が悪い!! まずはホイリゲを一杯

それが人の性だと思えば仕方ない気がしないでもないが、人は時に何故無駄な事をしてしまうのだろう?もう、20年近くも昔の事になる。オーストリアから戻って直ぐの頃だ。オーストリアワインにはまってしまった私は、オーストリアワインを求めて京都中のワインショップを彷徨っていた。
結果から報告すると、オーストリアワインは1本も見付からなかった。それはそれで、悲しい結果である。でも、いろいろなお店の人とワインを眺めながら、あるいは飲みながら話をして、日本におけるワイン業界の常識を教えてもらった。勿論、誰も私に対して、「日本のワイン業界ではね。。。」なんて話をした訳ではない。基本的には客の意向あるいは嗜好を尊重して、私のオーストリアワインに対する思いを聞いてくれた。相手は客である。誰も否定的な事は言わない。
「でも、早飲みでしょ?」
そこに存在したのは、悲しく、視野の狭い、日本のワイン業界の常識だけである。言い替えれば、その常識に縛られて、本当の意味でワインを楽しめなくなった人達の、小さなフランスワイン愛好家の世界である。
皆、ワインが好きである。いや、愛している。味の分かる人達である。そこに、常識が重く圧し掛かかり、真の意味でワインを楽しめない状況を造り出している。何時の間にか、彼らが私を見る哀れみの目以上に、私は彼らに哀れみを感じ始めていた。
私もフランスワインは美味しいと思っている。熟成されたワインのまろやかさも知っている。少なくともフランスでは、早飲みするワインがくずとは言わないが、熟成するに至らない品質の低さであることも知っている。だから、彼らのホイリゲ感が解らなくもない。「ワインを早飲みするオーストリア=ワインの品質の低いオーストリア」、という考えも解らなくない。
だからこそ彼らに味わってほしい。ドナウ河(die Donau)を見下ろすワァッハウ(Wachau)の斜面で作られた、リースリング(Riesling)スマラクト(Smaragd)の白ワインとは思えない芳醇な味わいを。ハンガリーからのパノニアの風を受けて大切に育てられた、テルメンレギオン(Thermenregion)シュペットロート・ロートギプフラー(Sptrot-Rotgipfler)のモザイクのような複雑な味わいを。ハンガリー国境の丘で秋の終わりまで育てられ、丁寧に熟成されても尚フレッシュさを失わない、ミッテルブルゲンラント(Mittelburgenland)ブラウフレンキッシュ(Blaufrnkisch)の深い味わいを。
そして彼らに知ってほしい。そんな素晴らしいワインを早飲みしてしまう、オーストリアの驚くべきワイン文化の真髄を。
早飲みで何が悪い!!だいたい、飲んだ事あるのか?哀れむ前に、一杯やったらどうなんだ?
美味いだろ?

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