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やがて夜が来る

2011.02.06

ミギテ ノ ユビ ガ ムクレテイル

それは良くない知らせだ。
それは新しい闘病の始まりを告げる、細やかで的確なニュースかもしれない。
それにしても闘病とは適切な言葉ではない。ここにはもっと適切な言葉があってもいいはずだ。
例えば、そう、新しい別の病気との共生。

2010年は私にとって、とても辛い年になった。その責任の多くは私にある訳だが、不可抗力といえるものもあった。
お母さんが転んで骨折し、3ヶ月程入院した。その間、毎日病院へ通い、家へ帰るのが2時間程遅くなった。
お母さんの入院で、お父さんも落ち着きをなくし、いろいろ失敗しては、私の手を煩わせた。
仕事もきついことがあり、精神的にかなり痛めつけられた。
友人関係でもトラブルがあり、かなり辛い目にあったあげく、私が被害者であるにもかかわらず、まるで加害者かのような悪い噂を流された。それは今も続いている。

2011年の正月明けにお父さんが発作で意識不明におちいった時、本当に辛く、息をするのさえ負担に感じられ止めてしまいたくなった。お父さんの発作で心配のあまり精神的に不安定になっているお母さんを慰めながら、本当に慰めてほしかったのは私かもしれない。
人はそれ程強くない。

それでも、生きていかなければならない。

その井戸は家の北側の格子戸を開けたところにあった。
三方を石垣に囲まれ、広さは2畳程だろうか。井戸のある空間は大きくない。
石垣は川の流れで角が取れた丸みのある石が積み上げられており、その隙間からところどころ小さな草が覗いている。地面には的確に切られた敷石が敷き詰められている。
井戸は石垣と同じ、川の流れで角が取れた丸みのある石で形造られている。違うのは草が覗いていないことだ。
井戸に日が差し込むのは、太陽が一番上に達した僅かな時間だけだ。その時間だけ、井戸はその深い自らの存在を私に見せ付ける。

だが。。。

今日は見るのをやめよう。
井戸の底など見なくていい。
今日は井戸を眺めよう。
太陽は既に西の空に沈もうとしている。
やがて夜が来る。
夜は空から降りては来ない。
井戸の底から湧上り、徐々に空へと広がっていく。

私は目を離さず。それを見続ける。

やがて夜が来る。

それは誰とも分かち合えない