こんな不味い物を飲むなんて 炭酸水
初めてヨーロッパ(オーストリア)を訪ねた時、カルチャーショックの一つとしてミネラル・ウォーター(ミネラルヴァッサァ:Mineralwasser)があった。炭酸水だ。勿論、サイダーではない。ただの水に炭酸が入っているだけだ。
ヨーロッパの人は「水」というと、この炭酸水を飲む。だからレストランなどで水を頼むと(通常、日本のように飲食店で水は出ない。飲み物として注文しなくてはいけない。)、間違いなく炭酸水が出てくる。日本のような炭酸の入っていない水がほしければ、わざわざ「炭酸抜きの物を(オーネ・ガス:ohne Gas)」と付け加えなければならないのだ。
私が始めてオーストリアに行った時、わたしはこの事実を知らなかった。ヨーロッパの人は水を買って飲むということはなんとなく知っていたのだが、それが炭酸水であるということを知らなかったのだ。だから初めてこれを飲んだ時、思わず吐き出しそうになってしまった。ホストファミリーとの夕食時で、みんなが食事を始めた直後だったので、涙ながらに無理やり飲み込んだ。
「こんな不味い物を飲むなんて、この人達変だよ。」
声には出さなかったが、その時の私はそう思っていた。ただ、私の不愉快そうな顔に気づいた友人(彼はその家の長男だ)が、ジュースで割るという飲み方を教えてくれた。これは有難かった。炭酸水の刺すような感覚がなくなるし、苦い様な、えぐい様な味も緩和される。以後、私はしばらくこの方法を実践していた。炭酸水2にオレンジジュースかりんごジュース1の割合で割っていたのだ。
でも、やっぱり、甘い物(この濃さで割るとさほど甘いということではないのだが)を食事中に飲むのは、なんだか子供ぽくって嫌な感じがした。それに、一人だけジュース(それがたとえ薄めた物であうと)を飲んでいるのも、私的には嫌だった。で、考え付いたのが、できるだけ早めにコップに注いで、炭酸を抜いてしまう方法だ。ある程度炭酸が抜けてしまえば、ただの水だ。私にだって飲める。その様にして、私は徐々に炭酸水に慣れていった。
今、私は普通に炭酸水を飲んでいる。葡萄畑を歩いて喉が渇いている時の炭酸水は格別だ。泡が喉を通っていく時の感覚がたまらない。特に乾燥した、オーストリアの気候では、そのシュワシュワ感が喉を潤す。習うより慣れろとはいうが、水にも当てはまるとは思わなかった。