女の子一人でそんな処に行ってはいけません! マジョリカハウス(Majolikahaus)
ママは男の子しかいなかったので、女の子(その当時はね)である私の行動に興味しんしんだった。持って行った服を全部確認(勿論私に内緒で)されたのにはまいったけど、レストラン(ホイリゲではない本格的な)等に行く時はいろいろアドバイスしてくれて有難かった。行った場所や買った物の話もしつこく聞かれた。何処そこの服はお洒落とか、男の子は言わない訳だし、何もかもが珍しかった様だ。
さて私はママが期待しているウィンドショッピングよりは、絵を見たり、建物を見たりする方が好きだ。ウィーンという街は面白い街で、古い建物の中に近未来的な総硝子張りのビルが建っていたりする。ぶらぶら歩いているだけでも結構楽しめる。勿論、ガイドブックにも掲載されていない場所も、それはそれで楽しめる。
ある日、私はマジョリカハウスを見に行った。マジョリカハウスはオットー・ヴァーグナー(Otto Wagner)が設計をした集合住宅で、美しいイタリアのマジョリカ焼きのタイルを壁面に使っている。何度か写真で見た事があったので、本物を見たくなったのだ。その話をした時、ママは初めて(恐らく最後)すごく怒った。ドイツ語でかなり厳しく言われ、その後家族全員に「二度と行かない。」と私が誓うまで意見された。
何故か?
マジョリカハウス、それ自体は観光の目玉ともなっているもので、決して近づいてはいけないものではない。ただ建っている場所が悪い。ウィーンで一番有名な市場ナッシュマルクト(Naschmarkt)の奥の、のみの市(Rechte Wienzeile)の開かれる辺りに建っている。ナッシュマルクトは危険な場所とは言い難い。しかし、奥にいくに従って怪しい雰囲気になる。のみの市はかなり怪しい。私は昼間、それも朝早く行ったが、夜ともなると危険の部類の場所になるらしい。ママが怒ったのも道理である。
それ以後、私はマジョリカハウスというかナッシュマルクトの奥には一度も行ってはいない。時々、入口付近のスタンドでサンドイッチを買うぐらいだ。ガイドブックにもそのようなことは書かれていないので、女の子一人で行く人も多いだろう。でも、地元の人が行くなと言っているのである。男でも近づかないに越した事はない。