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オーストリア政府観光局
オーストリア2ジャパン
オーストリーワインマーケティング協会

 

若い力の台頭
ノイシードラセー(Neusiedlersee)

2010.02.28

これはとんでもないことになっているぞ。

2009年の9月、その地に立った私はフリーズしていた。
そして、再起動がかかるまでにはかなりの時間を必要とした。

葡萄栽培地域ノイシードラセー(Neusiedlersee)、中央ヨーロッパ最大と言われている平原湖ノイシードラ湖(Neusiedler See)東岸、ハンガリー(Ungarn)との国境に挟まれたこの地は、鉄のカーテンが存在するころから、それほど辺境の地という雰囲気はなかった。だが、東西冷戦の狭間で国境を警備する兵士達が行き交い、オーストリア=ハンガリー帝国(Kaiserliche und knigliche Monarchie)時代はハンガリー領だったという複雑な事情も相まって、積極的な投資が呼び込める程明るい要素のある地域でもなかった。見捨てられていた訳ではないが、あえて取り上げられてもいなかった。
だが、事情は変わった。鉄のカーテンがなくなり、ハンガリーがEUに統合され、シェンゲン協定(Schengen agreement)の批准により、オーストリアとハンガリーの間には事実上の国境がなくなった。
この地、葡萄栽培地域ノイシードラセーは、ノイシードラ湖の東に続く広い平原地帯の一番西側の地域になってしまったのだ。投資も期待できるし、若者の未来も明るくなった。
そこに葡萄栽培地域ミッテルブルゲンラント(Mittelburgenland)発のブラウフレンキッシュ(Blaufrnkish)のブレークの知らせが届く。このオーストリアでしか栽培されていない赤ワイン用の品種が国際的な評価を得たのだ。この知らせを、意気盛んなワインの醸造家を目指している若者達が聞き逃すはずがなかった。特にこの地域北部ゴルス(Gols)の若者達は奮い立った。元々、ゴルス周辺、東側の丘はブラウフレンキッシュの名産地である。世界に認められた品種なら売れる。ワインの世界で独り立ちできるかもしれない。

だが。。。

立ち上がった数が多すぎる。

試飲したワイナリー 通りはワイナリーだらけ

これはとんでもないことになっているぞ。

ゴルスの町の幹線道路ノイシードラ・ブンデス通り(Neusiedler-Bundesstrae)を1/4程歩いて、私はフリーズしてしまった。
ワイナリーが多すぎる。しかも知名度がなさすぎる。最近できたばかりなのだろう、聞いたことのある名前がない。

気を取り直して、開いているワイナリーに入る。
まずは若いブラウフレンキッシュとサンクト・ラウレント(Sankt Laurent)を試飲する。
(旨い。)
顔色を悟られないように、そこで1番価格の高い(恐らく、1番の自信作)のブラウフレンキッシュを試飲する。
(旨すぎる。)
バンザイするのは不味いので、「これ買います。」と声に出した。

どこのワイナリーもこんな感じだ。

町の中心部まで進んだところで、ようやく私自身の再起動が完了した。

これからが勝負なんだ。

ゴルスはワインで有名な町ではあるが、ゴルスと言えばここといえるだけのワイナリーはまだない。どのワイナリーもがんばっているし、ワインも美味しい、でもマーケティング、知名度という点ではまだまだなのだ。しかも、この小さな町に70を超えるワイナリーの数は多すぎる。海外にも輸出できるだけのマーケティング力と生産力のある、それなりのワイナリーが必要なのだ。
ヴィノテク(Vinothek)に入る。そこでこの地域のワインを眺める。赤も白もかなりの実力のはずだ。
しかし、知ったラベルがない。

これからもっとすごいことになる。

淘汰が始まる。(始まらなければ、この町はワインでやっていけなくなる。)
どこが浮き上がるのか、どこが沈むのか。恐らく私達は見ていかなければならないのだろう。
葡萄生産地域ノイシードラセー、今、最も熱い生産地でもある。若い力の台頭が気持ちいい。
だが、彼らの多くが舞台から去らねばならなくなった後に、そこは世界でも屈指の赤ワイン産地になっているはずだ。