なんでテッシュ(Tesch)なんだ? もしかして。。。

オーストリアワインがメジャーになっているという実感はないけど、最近のガイドブックでは漏れなく取り上げてくれているのが嬉しい。観光客(私もそうなのだが)にとってガイドブックはその国(街)を歩く指標だし、そこに紹介されているということは、ワインを飲んでみよう、ホイリゲに行ってみようと思う人もでてくるだろう。オーストリアワイン党としては喜ぶべき状況である。
私が行くワインの村などはガイドブックにはまず掲載されていないし、ウィーンの街は何度も行っているので必要ないかとも思うのだが、それでも1〜2年に1冊はガイドブックを買ってしまう。今回は特に入院しているので、暇潰しも兼ねて買ってしまった。入院していると何もすることはないし、かと云って小説ばかり読んでいると、気分が優れない時は辛い。軽い内容の雑誌や写真の多いガイドブックは気分転換になる。美しいオーストリアの風景でも見れば、心が和むというものだ。
さて、今回購入したのは、そういう事情もあって、大手旅行社が出版している雑誌形式のものだ。写真も多いし、雑誌のように拾い読みもできる。暇を持て余している私は適当にページを捲っては、写真を見たり、熟読したり、いい暇潰しのお供としていたのだが、レストランガイドの隅に付け足し程度に掲載されているオーストリアワインの紹介を見て固まってしまった。
「なんでテッシュなんだ?」
そこに掲載されているグリュナー・フェルトリーナー(Grner Veltliner)ブラウフレンキッシュ(Blaufrnkish)、オーストリアを代表する白ワインと赤ワイン品種のボトルの写真を見て、私は思わず呟いてしまった。何故か?赤ワインのボトルがこのサイトとまったく同じだったからだ。そりゃ、同じだって可笑しくない。市販されているものだ。たまたまということもある。しかし、テッシュなのである。どう考えても不自然だ。
白ワインのグリュナー・フェルトリーナーはいい。シュロス・ゴベルスブルグ(Schloss Gobelsburg)は有名だし、日本でも手に入る。ウィーンのワイン・ショップでも手に入れやすい。知名度的にはもう少しお勧めのワインもあるが、オーストリアを代表する白ワインと云っていい。
問題はテッシュである。オーストリアを代表する赤ワイン品種、ブラウフレンキッシュとしてテッシュは不適格な訳ではない。ブラウフレンキッシュラント(Blaufrnkishland)の中心地の1つと云ってもいいネッケンマルクト(Nekenmarkt)にあるワイナリーである。ワインの出来もいい。正直、美味しい。オーストリアを代表する赤ワインと云っていいだけの価値はある。しかし知名度が低すぎるし、日本ではまず手に入らない。ウィーンでもここのワインを手に入れるのは難しい。小さなワイナリーなのだ。生産量も多くない。私もドイチェクロイツ(Deutschkreutz)ヴィノテク(Vinothek)でなんとか手に入れたのだ。ワインに詳しくない人が手に入れるのは至難の業だ。だから、代表としてガイドブックにもってくるには少し問題がある。テッシュが悪いという訳ではないが(本当は超お勧めワインだが)、ここに掲載するなら同じブラウフレンキッシュラントのゲセルマン(Gesellmann)辺りが適切ではないかと思う。味も良いし、日本でも手に入る。ウィーンのワイン・ショップでも必ず置いてある。従って、手に入り難いテッシュのワインの写真を見て、「なんでテッシュなんだ?」となってしまうのだ。で、このサイトを見たのではなどと、変に勘ぐってしまうのだ。

ドイチェクロイツのメインストリート ピンクの建物がヴィノテク テッシュのボトル

しかも、このオーストリアワインの紹介ページは他にもつっこみたくなるところが多すぎる。(関西人です。すみません。)赤ワインの品種として紹介されているのは、ブラウフレンキッシュとブラウアー・ブルグンダー(Blauer Brgunder)、ブラウアー・ポルトギーザー(Blauer Portugieser)の3種である。ここにオーストリア特有の品種であり、栽培面積が最も広い ツヴァイゲルト(Zweigelt)が抜けているのは奇妙である。赤ワイン3品種なら、ブラウフレンキッシュとツヴァイゲルト、ブラウアー・ポルトギーザーが適切かもしれない。白ワインの品種として紹介されているのは、グリュナー・フェルトリーナーとフリューローター・フェルトリーナー(Fruhroter Veltliner)、 ミュラー・トゥンガウ(Mller-Thurgau)、ノイブルガー(Neuburger)である。フリューローター・フェルトリーナーとはローター・フェルトリーナー(Roter Veltliner)のことか?とすれば、超希少品種であるから、ここで紹介するのはつらいかもしれない。もう少し、(あくまでオーストリアで)一般的な品種の方がいいかもしれない。 ミュラー・トゥンガウもオーストリアで栽培されているが、一般的とは言い難い。また、オーストリア特有で栽培面積がグリュナー・フェルトリーナーに次ぐウェルシュリースリング(Welschriesling)が抜けているのも変だ。また、高級ワインとして知られている、ワァッハウ(Wachau)を代表するリースリング(Riesling)も捨てがたい。白ワイン4品種なら、グリュナー・フェルトリーナーとウェルシュリースリング、リースリング、ノイブルガーが適切かもしれない。
ワインの種類も面白い。モスト(Most)シュトュルム(Sturm)シュタウビガー(Staubiger)ゲシュプリッター(G’spritzer)グリューワイン(Glhwein)である。前3種は発酵度の違いで、後の2種はワインの飲み方である。どちらにしろレストランで注文するのは不適切である(ホイリゲにでも行かねば)。この部分で(何せレストラン案内の片隅なので)ワインの種類と云えば等級格付ではないかと思う。だいたい、一般のワイン・ショップでこのような物は購入できない。あまり良い案内とは言い難い。
写真の疑惑があるので、好きなだけつっこんでしまったが、とにかくガイドブックのワイン紹介である。一般的且つオーストリア的にしてもらいたい。しかも、できればワインをよく知らない人でも、ワインショップで購入したり、レストランで楽しむための指針となる内容にしてほしい。

Kino_Sanの独り言 目次へ戻る