ホイリゲの季節、営業は夏期だけ? 解禁は11月11日です
ホイリゲは庭に出された席でワインを飲む印象が強い所為か、夏期のみしか営業していないと思っている人が多いようだ。ある掲示板で冬期も開いている店のある旨を書いて、嘘つき呼ばわりされたことがある。ウィーンでそんなことをいうと地元の方に笑われるとも書かれた。正直、笑ちゃうのは私だ。
ホイリゲ(新酒)の解禁は11月11日、聖マルティンの日と決まっている。その日から、翌年の大晦日までホイリゲ(新酒)として販売していいのだ。ボトリングはもう少し遅く、だいたい翌年の4月ぐらいが大半のようだ。
さて、解禁が11月11日ということは、その日にホイリゲが営業していない訳がない。営業している店が1軒もないなら、解禁日を11月にする必要はない。夏時間に変わる頃にでも設定すればいいのだ。確かに、ホイリゲのシーズンは夏である。やはり、農家の庭先で飲むホイリゲ(新酒)は格別だ。だが冬も開店している店はある。そして客もいる。解禁日は盛り上がる。でなければ、解禁の意味がない。
ホイリゲで販売されているのは自家製のワインのなで、どうしても量に限りがある。だからホイリゲの中には営業を夏期のみにしたり、冬期のある時期集中的に休んだり、週休2日にしたり、いろいろ工夫しているのだ。むしろ葡萄栽培農家という立場から見ると、葡萄を育てている夏期の営業は控えたいというのが本音ではないか。客が来るから開けているが、できれば農閑期の冬に開けたいと希望している店もあるような気がする。
ここで、ワインができるまでの工程を考えてみよう。
葡萄が育ち始めるのは春、畑の草取りや整備で4月頃から畑仕事が始まる。収穫は9月、ただし葡萄の成熟度によって、若干前後する。育ちすぎた年は早めに収穫し、成熟が遅い年はギリギリまで待つこともある。アイスワインになる1歩手前まで待つ年もある。とにかく、どんな気候でも、できるだけワインの品質は同程度になるように、各農家は独自の努力をする。
9月も終わり頃になるとホイリゲでは、シュトゥルム(Sturm)という発酵途中のワインというか葡萄ジュースというか、そういうものを出すようになる。シュトゥルムはお腹を壊す人もいるようだが、この季節だけしか飲めない秋の味だ。
そして11月、ようやくホイリゲ(新酒)が解禁となる。各ホイリゲは自慢の新酒を出すし、それ目当ての客も多い。勿論、庭のテーブル席はもうない。あるいは座る人はいない。客は室内で盛り上がる。夏は殆どの客が座っていない、おつまみを売るカウンターの前にある席だ。暖房のよく効いた窓辺の席で、しんしんとふる雪を見ながら飲むホイリゲ(新酒)も格別だ。ただ冬のホイリゲ街は寂しい、白い風景の中、営業を示す電球の灯りも心なしか弱々しい。でも店の中は結構活気がある。ホイリゲ(新酒)の季節なのだ。
ホイリゲのシーズン(季節)は確かに夏期である。でもホイリゲ(新酒)の解禁は11月だ。どちらを旬と考えるかは、その人個人の問題だ。