ホイリゲの保育士 何故成人男性にはもてない?
自分でいうのもなんだが、私のルックスは結構よい。スタイルだって悪くない。もててもおかしくない。でも、成人男性にはもてない。そのかわり、何故か、異常なまでに子供には好かれる。
バスで前の席の子が私を見て笑いかけてくる。飛行機で隣の席が開いていたら、何時の間にか子供がいて話しかけてくる。こんなエピソードは日常茶飯事だ。
オーストリアのレストランには子供がいない。いても異常におとなしくしている。おとなしくしていないと血を見るからだ。とは大げさだが、両親にかなり厳しく叱られる。叱られているのを実際に何度も見た。どの親も公共の場、特に大人の空間で子供が騒ぐのには厳しく対応する。これがオーストリア流だ。
しかしホイリゲは違う。どうもホイリゲでは子供は騒いでもいいようだ。だから走り廻っている。食べ物の奪い合いもしている。そこに私がいる。子供に異常に好かれる私が、ひっそりとワインを飲んでいる。こんなチャンスをやつらが逃すはずはない。私の周りには子供が集まることになる。
田舎のホイリゲで飲んでいた時は、よく赤ちゃんを連れた若い夫婦と一緒になった。赤ちゃんはベビーカーの中、そして私を見たらよく笑った。泣いていても、泣き止む。泣く子も笑うKino_Sanなのだ。何時の間にか、夫婦は私の横にベビーカーを置くようになった。私はたまに赤ちゃんを見ながらワインを飲んでいる。赤ちゃんは酒の肴にはならない。でも私は諦めるしかない。好かれているからだ。
ウィーンのホイリゲでは、観光客らしい家族連れの、よちよち歩きの女の子が私の横でこけた。それだけなら母親が抱き起こすのを待つのだが、その子は何故か石をなめようとした。さすがに放置するわけにはいかない。抱き起こして石を取り上げる。そしてその子は私の横に居ついた。シュランメル音楽が始まると音楽に異常に反応し、私は子供を抱いて楽士さんの横に座るはめに陥った。チップだって必要だ。女の子は離れない。楽士さんはすっかり私の顔を覚えてしまった。
私は保育士ではない。先生でもない。子供もいない。普通のエンジニアだ。でも、ホイリゲに行くと子供がついて来る。
しかし、何故、成人男性にはもてない?