ウィーンの夜を歩く
2009.12.13
路面電車は夕暮れに包まれた街並みの中を抜けてゆっくりと停まった。ホームに人はいない。リンク通り(Ring)もこの辺りは人通りが少ない。通りが暗いのは、街灯が暗い訳でも、少ない訳でもなく、商店やレストランが少ない為だ。
私はドナウ運河(Donaukanal)に沿って、ゆっくりと歩き始めた。
やがて、リンク通り沿いの小さな公園に出る。ライトアップされたルプレヒト教会(Ruprechtkirche)が公園の奥にそびえている。教会が大きな訳ではない。教会は市壁の名残の高台に建てられているのだ。
私は長い階段を上って教会の前に辿り着く。バミューダ・トライアングル(バミューダドライエッケ:Bermudadraeiecke)、懐かしい場所だ。若者向けのカフェ・バーが集まっている。今日は土曜日、それでなくても賑わうこの界隈の店は若者でいっぱいだ。店から溢れ出した外の席では、恋人達が見詰め合っている。かなり以前、私もその中にいた。
少しだけ苦笑いして、先を急ぐ、今度は階段を下りて、ウィーンの中心部へ向う。
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私は夜に外出するのが嫌いだ。夜に弱く、夜更かししたくないこともあるが、日本の夜が怖いのだ。両親を引き取るまで、随分長い間一人暮らしをしていたが、エンジニアということもあり、会社からの帰りは午前様になることもよくあった。そして3度程知らない人(怪しい男?)に後を着けられ、家に入られる直前で阻止するという目にあっている。だから必要のない限り、私は夜に歩かない。
でも、ウィーンでは夜によく歩く。夕食をホイリゲで済ませて、路面電車を降りてから、ホテルには回り道して帰る。しかも人通りの少ない小路ばかり選んで歩く。中庭のベンチに暫く腰掛けたり、教会で蝋燭の火に見とれたりする。
ウィーンの夜が特別安全といえるかは分からない。日本の方が安全な場合もあるだろう。ただ、ウィーンでは殆どの飲食店が夏季には外にテーブルを出していて、人通りがなくても案外人の目はあるのだ。それに、女性が一人で夜歩くには相応しくない通りもないわけではないけど、単純にそれを避けている事もある。どちらにしろ、旧市街地はかなり安心して夜歩きできる。
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イタリアレストランのテーブルの蝋燭が揺れている。
もう、ホテルに戻る頃合だ。
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