エスターハージィー(Esterhazy)宮殿でのコンサート
夕暮れに消えていくハイドン

エスターハージィー家の宮殿 コンサートを聴いてしまった中庭

アイゼンシュタット(Eisenstadt)には、ハイドン(Franz Joseph Haydn)が仕えたエスターハージィー家(Esterhazy)の宮殿が、今も残っている。入口にはこの地方(ブルゲンラント州:Burgenland)のワインの販売所もある。そこで、毎年夏に、ハイドンのコンサートが開かれている。宮殿でのコンサート、なかなか趣きがあるではないか。
でも、私はあまり興味がない。ウィーンではできるだけ音楽を避けている。避けていても、音楽は耳に入ってくる。街角で、ホイリゲで、テレビからも。
だから夏の午後遅くアイゼンシュタットまでドライブしたのは、このコンサートが目的ではなかった。彼の気持ちは知らないが、私はいいワインがあれば購入するか、時間があれば何処かワイナリーにでも寄るつもりでいた。
アイゼンシュタットに着いて、町を散歩して、カフェで休憩して、宮殿に行った。中庭で見学していると、ハイドンが聞こえてきた。いい音だ。彼がポスターを確認してくる。
「あまり高くないし、聞きたかったら、入る?」
「いいよ、こんな服だし、途中からだし。それに、ここいいじゃない。」
二人ともジーパンにTシャツ、確かにコンサート向けではない。でも、夕暮れが近づいて来る気配を感じながら、宮殿の中庭に響くハイドンの音色は素晴らしい。
私達は暫く佇んだ。二人の他には人影はない。やがて、夕暮れがゆっくりと中庭を包み込む。ハイドンの音色はゆるやかに、その夕暮れに消えていく。
これで無料は悪いよね。私達はそう思いつつ、音楽に耳を傾ける。
結局、ワインは買わなかった。ワイナリーにも行かなかった。ただ、夕暮れの中、家路を急いだ。後ろには、まだハイドンの音色が響いていた。

Kino_Sanの独り言 目次へ戻る