ドナウ(die Donau)の流れ 確かに大河なのだけど。。。

始めてドナウ河を見たのは、ゲットヴェグ(Gttweig)からデュルンシュタイン(Drnstein)に向かう橋の上からだった。クレムス(Krems an der Donau)の少し上流にかかる橋だ。
「ドナウだよ。」
車を運転していたオーストリア人の友達が弾んで言った。車は確かに比較的大きな河に掛かった橋の上を走っている。しかし、私は感動しなかった。もう少し正直に言えば、がっかりしていた。私が思い描いていた「大河ドナウ」と目の前の河には、到底埋まりそうもない、大きな格差が存在していたからだ。
ドナウ河はヨーロッパで2番目に長い河で、ドイツのシュヴァルツヴァルト(Schwarzwald:黒い森)を発して、ルーマニア(Rumnien)で黒海に注ぐ。ただの河というだけでなく、貨物の輸送などにも使用されており、ヨーロッパの重要な幹線ルートの1つである。
そして、美しく青きドナウ(An der schnen blauen Donau)。ゆったりと流れていく大河を思わせる彼のメロディーは、より一層、私に「大河ドナウ」を期待させた。
ところで、私は日本でもトップクラスの流水量を誇る、日本なりに大河と呼んでいい河の河口の町で生まれ育った。河は深く、大きく、広かった。河が大きすぎたせいで、私は自分の町が海に面していることに長く気付かなかったぐらいだ。橋も少なかった。川幅が広すぎて、橋を掛けるにはかなりの技術と費用が必要だったのだ。市街地に1本だけ掛かった橋は巨大で長かった。
その時目の前を流れていた河は細く(小川ではないけれど)、茶色く濁っていた。大河でもなければ、「美しく青き」でもなかった。だから、とてもがっかりしてしまったのだ。

ここから見るドナウは期待外れ? ウィーン市内を流れるドナウ、大河かな?

デュルンシュタインで砦跡に登る。先程見てきたゲットヴェグの修道院が山の上にそびえている。細く、あまり美しくないドナウ河は、砦跡とゲットヴェグの間をゆっくりとクレムスの方へ流れていく。時々、船が通る。貨物船だ。動脈には違いないが、大河と呼ぶには苦しい感じがする。
期待していただけに、私はがっかりしたままデュルンシュタインを後にした。
後日、私は久しぶりに故郷に帰った。巨大な土手の上を歩く。河は大きく、水は青い。だが、この河はここで終る。間もなく海の一部になるのだ。オーストリアを流れているドナウ河はまだ始まったばかり、ドイツ南部を横切り、オーストリア北部を流れている。先はまだ長い、黒海は遥か東だ。大河の本領を発揮するのは、まだまだ先かもしれない。

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