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オーストリア政府観光局
オーストリア2ジャパン
オーストリーワインマーケティング協会

 

ドイツと同じで。。。
根本的に間違えています

2006.06.11

私がこのサイトを開設した理由は、オーストリアワインとホイリゲが大好きだからである。
だが、世間というものは情報が豊富なようで、案外偏っている。飛行機でたまたま話をしたオーストリアに行く人、あるいは帰って来た人が、全てオーストリアワインを飲んでいないか、オーストリアでワインが生産されていることすら知らないかなのである。私がワインを目的だけにオーストリアに行くことを話すと、大抵の人は驚き、不思議な表情になる。まぁ、こちらも同じ気持ちなのだが(つまり、オーストリアに行ってワインも飲まないなんてもったない)。という訳で、オーストリアを訪ねる人にオーストリアワインを飲んでほしい、あるいはホイリゲに行ってほしい、これもサイト開設の理由となっている。
さて問題は、オーストリアに行った人が何故オーストリアワインを飲んでいないかだ。理由は大きく2つに分かれる。
理由1:オーストリアは、ドイツと同じでビールが主流、ワインは不味いはず。
理由2:オーストリアワインは、ドイツワインと同じで白の甘口が主流。ワイン好きには合わない。
これらの理由は正確であるか?答えは根本的に間違いである。
オーストリアのビールの起源は旧パプスブルグ帝国領土のチェコにある。そしてオーストリア人もビール好きであるが、ドイツが起源の訳ではない。少なくともオーストリア東部では、ビアガルテンよりはホイリゲの方が多い。ただしビールの味は良い。
次にワインである。
ドイツのワインは中西部、モーゼル地方(Mosel)やフランケン地方(Franken)で生産されている。ライン河(der Rhein)流域である。(エルベ河(die Elbe)流域でも少量ながら生産されている。)ワイン生産の北限といっていい地域で、内陸性の気候が強く、葡萄が育つのは河の恩恵にほかならない。ライン河の支流あるいは本流を望む斜面に、河の恵みを全て吸収するかのように葡萄畑が広がっている。生産者は丁寧に忍耐強く葡萄を育てているが、残念ながらそう糖度は高くならない。ドライなワインが生産できない理由がそこにある。とはいえ、ドイツでも甘口は主流ではない。ドイツワイン=白甘口となってしまったのは、大手輸入業者の戦略である。「ドイツの正しいワイン、XX」のCMの影響だ。

フランケン地方の中心都市ヴュルツブルグ、丘の斜面が葡萄畑 ライン河畔の葡萄畑

オーストリアのワインは国の東南部で生産されている。国自体がドイツより南なので、生産地域全体がドイツの生産地域よりかなり南になる。内陸性の気候も強くはあるが、東のハンガリーからのパンノニア(Pannonia)気候、南部は地中海性気候の影響も強く受けている。当然、ドイツより温暖となり、熱害の心配さえある。葡萄の糖度はあがり、ドライなワイン、極甘口のプレディカートヴァイン(Prdikatswein)が生産されることとなる。ドイツには少ない赤ワインの生産も多い。どう見てもドイツワインとは違う。
では何故、根拠のない噂のような理由がまかり通っているのか。第一の理由はガイドブックにある。わたしが始めてオーストリアを訪ねた頃は、ワインに関する記述すらなかった。1990年代になると、少しワインの紹介が記載されるようになったが、内容は「ドイツと同じように甘口の白ワインが主流」というものばかりだった。現在は、「ドイツワインよりフランスワインに似ている」に変わりつつある。どこでそうなってしまったのかは調べようもないが、著者が取材をしていない、あるいはかなりいい加減にしていることは明白である。
第二の理由として、日本の方はドイツとオーストリアを明確に違う国として認識していないことにある。オーストリアをドイツの一部とまでは思っていないだろうけど、ウィーンが何処の国の首都か明確に答えることのできる人はどれくらいいるのだろうか?あるいは、ドイツとオーストリアの位置関係を正確に把握している人がどれくらいの割合になるのか?「同じヨーロッパだし、似たようなものじゃないの?」って感じののりである。そして、オーストリア≒ドイツとなり、「ドイツと同じで。。。」という言葉が出てくる。
人の認識については責めることはできないが、ガイドブックの記述は注意してほしい気がする。とりあえず、その国のできるだけ正確な情報を提供するのが、ガイドブックの使命だと思うからである。