バーデン(Baden bei Wien)でのコンサート 聞くつもりはなかった
丁度、復活祭の休暇だった。バーデンを散歩しようと思ったのは、家に閉じこもっているのが退屈になったからだ。日差しは温かくなってきたとはいえ風が強く、まだコートが必要だった。寒いのであまり外に出なかったのだが、どちらかといえば体育系の私、そろそろ我慢できなくなっていた。
バーデンの公園は散歩するのに丁度いい。特に寒い季節は、近くにカフェがいくつかあって暖を取ることもできる。広さも歩くのにいい大きさだし、丘もあって、そこからの見晴らしも好きだ。
私はがむしゃらに公園内を歩いたので、少し疲れ、体が暑くなってきたこともあり、陽のあたるベンチに腰掛けて休んでいた。少しづつ人が集まってきた。気が付くとベンチはいっぱいになり、立っている人もいる。民族衣装を着た子供がパンフレットを配っている。チューニングの音が響いた。この公園には作りつけの舞台のようなものがある。そこで、少人数の楽団がチューニングをしていた。
「まずいなあ。」そう思っても。もう動くことはできない。子供が私にもパンプレットを配る。不覚にも受け取ってしまった。
コンサートは決して嫌いではない。クラシックも今流行っている曲も、音楽は好きな方だ。ただ、ウィーンで音楽を聞くことはできるだけは避けている。極力、触れないようにしている。理由は説明し難い。というか、ない。
でも、コンサートは始まってしまった。遅れて来た年配のご婦人にベンチは譲り、最後まで聞いた。悪くはない。音響効果はとにかく、緑を見ながら、音楽を聴くのは悪くない。バーデンでは時々、このような野外コンサートが行われているようだ。さすがはカジノもある高級観光地だけのことはある。
でも聞くつもりはなかった。これが私がオーストリアで経験した、たった1回のコンサートだ。