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見捨てられた建物だと思っていた
グロリエッテ(Gloriette)

2007.04.08

見た目より急斜面の綴れ織りの坂道を上がると、その建物はあった。戦没者記念碑だと言う。しかし、その荒れ様はひどい物だった。角々には砂が吹き溜まり、至る所に小石が散らばっていた。そこから見るウィーンの旧市街の展望は素晴らしいものだったが、建物のみすぼらしさに驚くばかりだった。私が始めてグロリエッテに立った時、その建物は長い休眠の中にあったのである。
元々、グロリエッテは戦没者記念碑などではなく、有名なシェーンブルン宮殿(Schloß
Schönbrunn)
の上宮として建設されるはずだった(従って、現在の宮殿は下宮である)。ところが建設費が嵩み、戦没者記念碑へと方向転換されたのである。シェーンブルン宮殿の建設は壮大な国家事業で、フランスのベルサイユ宮殿をも意識されたらしいが、パプスブルグ家(Habsburg)の財政も思うようにはいかなかったのだろう。それでも建設当時は硝子窓もはめ込まれ、サロンのような感じだったらしい。

グロリエッテ   グロリエッテ

今、グロリエッテは私がかつて知っていた建物とは大きく違っている。外観は殆ど変わらない。再び硝子窓がはめ込まれて、中は美しいカフェに改装された。高い天井、シックなインテリア。あの荒れ放題の頃を思い出させるものはない。両翼のバルコニーも、展望台もよく整備されている。これならウィーンを代表するシェーンブルン宮殿の一部としてもふさわしい。
それにしてもどれぐらいの期間、その建物は放置されていたのだろうか?
初めて訪れた時の驚きは、今も生々しい。

グロリエッテ   シェーンブルン宮殿